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アスリートと
アスリートを支える人々の
リアルな声を届けるドキュメンタリー

鈴木啓太さん / AuB株式会社 代表取締役・元サッカー日本代表 Vol.1

鈴木啓太さん / AuB株式会社 代表取締役・元サッカー日本代表 Vol.1

アスリートの生の声を聞くインタビュー企画。
アスリートとして充実したキャリアを送るため、そして引退後のキャリアを充実したものにするため、周囲のサポートは欠かせないものです。
アスリートたちは、どんなサポートを受けて育ち、どんな専門家たちと歩みを共にしてきたのでしょうか。

記念すべき第一回にご登場頂いたのは元プロサッカー選手で、引退後もビジネスシーンで大活躍をしている、鈴木啓太さん。
浦和レッズで16年間プロ生活を送り、日本代表選手としても活躍。浦和レッズでは、J1優勝、AFCチャンピオンズリーグ優勝を経験。Jリーグベストイレブンに2度選出されています。
引退後にはAuB株式会社を設立。「すべての人を、ベストコンディションに。」を目標に掲げ、腸内細菌の研究を続けながら、機能性・品質を科学的に追求した商品・サービスを開発しています。

VOLUME 1では、ジュニア期のサポートについて話を聞きました。

鈴木啓太さん / AuB株式会社 代表取締役・元サッカー日本代表 Vol.1

“想い”のあるサポートが最も大切なもの

———ジュニア期に受けたサポートとして、「母の作る料理が最も大きかったことだった」と鈴木啓太さんは話します。

「母が調理師だったこともあって、食に関してのサポートはとても手厚かったですね。栄養士ではないので、もの凄く細かい栄養学を駆使して料理を作っていたわけではないのですが、僕がどちらかというと体が小さくて線が細かったこともあって、体作りのための土台として食事には凄く気を遣ってくれていました。それを今でもとても感謝していますし、母が私に真剣に向き合ってくれたからこそ、僕も頑張れたのだと思います。単純に母の料理が美味しかったというのもあるのですが(笑)。

ただ、一番大事なことはスキルじゃなくて“想い”だと僕は思っています。子どもを成長させたい、サポートしたいという“想い”が大切で。“想い”があって継続していれば、スキルは後からついてくるものだと思います。当時は今ほど情報がなかったでしょうから、母自身、いろいろと栄養のことを勉強して試行錯誤しながら、サポートしてくれていたのだと思います。

食事以外だと、サッカーに関して言えば、送り迎えや所属チームの役職も大変だったと思います。役職なんかは本当はやりたくなかったと思うのですが(笑)。そういったことはよく覚えていますし、自分が子育てをするようになって、より感謝の気持ちは強くなりました」

 

サポートを”する側”と”受ける側”のリンクも重要

———“想い”が大切であると同時に、サポートをする側とサポートを受ける側の気持ちがリンクすることも大切です。

幼少期の鈴木啓太さん(写真左)

「どんなものを与えても、その与えられた側に熱がなければ、ただの雑音というか効果や価値のないものになってしまうのかなと思います。僕の場合は、プロのサッカー選手になりたい、なるんだという気持ちと、母のサポートが上手くリンクしましたが、スポーツに励んでいる子どもたち全員がプロを目指しているわけではないですし、どうなりたいかというのも人それぞれです。

チャレンジする環境、トライする環境を与えるというのは両親や身近な大人の大事な役割というかサポートできることですが、だからと言って、押し付けになってはいけません。どう受け取るかは子どもによっても違うので、その匙加減は本当に難しいところなのですが」

———チャレンジできる環境を作ること。それは鈴木啓太さん自身も子育てで意識されている点だそうです。

「こういうものをやったほうがいいんじゃないかという選択肢は、可能な限り娘たちに伝えるようにはしていますけど、何を選択するのかは本人が決めることで、周りが決められるものではありません。自分の幼少期を振り返ると、これがあれば良かった、あれがあれば良かったというのはあるのですが、何よりも母が自分のことをよく見てくれていたのがとても大きかったと思うので、そこは僕もしっかりやっていきたいなと思っています」


鈴木啓太さんが今思う“あったら良かったこと”

———ジュニア期にどんなサポートが必要なのか。それは「誰にでもあてはまる正解はないので、正直難しい」と話す鈴木啓太さん。

高校サッカー時代の鈴木啓太さん

「自分のことにフォーカスして話すのであれば、小さい頃にもっと語学を学ぶ環境があったら良かったなという気持ちはありますね。ただ、母は英会話教室にも通わせてくれていたんです。母に外国人の友人がいて、その方が自宅に子どもを集めて英語を教えてくれるというものだったのですが、そこに週に1回通っていました。

その環境を与えてくれたこと自体にはもちろんとても感謝しているのですが、いま振り返って理想を話すのであれば、もっと英語に取り組める環境があったらより良かったのかなと思います」

———一方、やって良かったことが脳のトレーニングなのだとか。

「高校生のときにやっていた脳のトレーニングは、凄く大きかったですね。そのトレーニングをしたことで、自分の扱う言葉だったり、態度だったりが、ある程度固まりました。それがなかったら、高校を卒業してすぐに自立してプロフェッショナルとして仕事をするとなったとき、当時のようにはできなかったかもしれません」

———正解はない中で、試行錯誤し、悩みながらサポートする側の“想い”は子どもたちに必ず伝わっているはずです。

「周囲のサポートのありがたさを本当の意味で理解するのは、少し先のことになるかもしれませんが、その“想い”は必ず届いています。“あなたのためにやっているのに何で文句を言われなければいけないんだ”などと思うこともあるかもしれませんが、いつか感謝されるときが来ると思うので、それを楽しみに待ちながら応援してあげてほしいなと思います」

 

【プロフィール】

鈴木啓太 / Keita Suzuki

AuB株式会社 代表取締役。高校卒業後、2000年に浦和レッズに加入。2006年、2007年には2年連続Jリーグベストイレブンに選出され、2009年から3年間キャプテンとしてチームを牽引。Jリーグ通算379試合出場、日本代表通算28試合出場。引退後は実業家に転身し、AuB株式会社を設立。腸内細菌に着目し、ヘルスケア、フードテック事業を行っている。

 

文:神津文人 / FUMIHITO KOUZU

撮影:山田陽 / AKIRA YAMADA

 

VOLUME 2に続く