鈴木啓太さん / AuB株式会社 代表取締役・元サッカー日本代表 Vol.2
アスリートの生の声を聞くインタビュー企画。
アスリートとして充実したキャリアを送るため、そして引退後のキャリアを充実したものにするため、周囲のサポートは欠かせないものです。
アスリートたちは、どんなサポートを受けて育ち、どんな専門家たちと歩みを共にしてきたのでしょうか。
記念すべき第一回にご登場頂いたのは元プロサッカー選手で、引退後もビジネスシーンで大活躍をしている、鈴木啓太さん。
浦和レッズで16年間プロ生活を送り、日本代表選手としても活躍。浦和レッズでは、J1優勝、AFCチャンピオンズリーグ優勝を経験。Jリーグベストイレブンに2度選出されています。
引退後にはAuB株式会社を設立。「すべての人を、ベストコンディションに。」を目標に掲げ、腸内細菌の研究を続けながら、機能性・品質を科学的に追求した商品・サービスを開発しています。
VOLUME 1ではジュニア時代の話を伺いましたが、VOLUME 2では、アスリートして活躍していた時代の話を中心に話を聞きました。
自分に必要な”専門家”との出会いは成功のカギ
———アスリートの体調管理、コンディショニングは技術の1つだと考えている鈴木啓太さん。専門家との出会いがとても重要なのだと言います。
「いつ、誰と出会えるのかというのは非常に重要で、キャリアに大きな影響を与えるものです。ですから、情報を集めて自分に必要な人と出会う確率を上げる作業はとても大切になります。僕の場合は、フィジカル面が自分の弱点だと感じていたので、そこを強化するトレーニングにも注力していました。有名なジムに通ったことがあったのですが、僕の場合は、それが上手くいきませんでした。そこで提供されたトレーニングの強度に対して僕の体が耐えきれなかったのか、体の状態が悪くなってしまったんです。それで、別の場所を探すことにしました。次のトレーナーの元でのトレーニングは上手くハマって、コンディションを落とすことなく、フィジカルの強化ができました」
———主体はトレーニングではなく、自分の体。選択肢を持ち、合う・合わないの判断スキルを磨くこともアスリートに必要なこと。
「トレーニングに限らず、専門家の方たちはパーソナライズしたものを提供してくれるとは思うのですが、それでも合う・合わないはありますし、人間的な相性もあります。あるアスリートが良いと言っていたからといって、自分に合うかどうかは別の話ですし、いろいろとトライして学びながら、見る目を養うことも大切になってくると思います」
自分から情報を取りにいく姿勢と周囲のサポート
———自分に必要な専門家と出会う。そのためには、まず情報収集が欠かせません。
「僕の子どもの頃で言えば、母がハブになってくれていたことが大きいですね。たくさんの情報を集め、僕の様子を見ながら取捨選択してくれていたのだと思います。なので、子ども時代は母が僕の体作りの“主”だったのかなと。そして中学生の後半、高校生になるぐらいから、だんだんと自分が“主”になっていったような記憶があります。プロになれば、もちろん全てが自分の責任です。サッカークラブであれば、フィジカルコーチも含めて一通り優秀なスタッフが揃っていますが、完全に自分の考えや方向性とマッチしているわけではありません。絶えず、自分に必要なものは何か、それはどこにあるのかを考える必要があります。僕の場合は、選手時代の途中からマネジメント会社と一緒に、体のこと、メディア対応、ブランディングみたいなことを二人三脚でやってきたという感じですね」
自分がどうなりたいかを明確にする
———自分に必要な専門家と出会うためには、どんなアスリートになりたいのか、何を目指すのかを明確にし、ロードマップを描くことが大切だと鈴木啓太さんは言います。
「なりたい自分があって、そこに対して必要なピースを揃える、投資をするということが重要だと思います。明確なプランなしに、手当たり次第周りに声をかけたら必要なサポートが受けられるということはありません。僕の場合は、高校一年生の冬に立てた2010年のワールドカップに日本代表として出場して優勝するという目標に向かって、試行錯誤していきましたが、自分の目的が明確であれば明確であるほど、選ぶものというのは自ずと決まってくるというか、たくさんの情報がある中で選択肢が狭まってくるのではないかと思います。ワールドカップ出場の目標が達成できなくて苦しんだ時期もありましたけど、再度目的を見直したことで持ち直すことができました。それほど目標、目的というのは重要なのです」
———主体性を持ち、目指すものを明確にする。失敗はあれど、自分の軸がブレなければ必要なものを見つけ出せる確率は上がります。
「先にお話しした僕のトレーナーの件で言えば、一度目のトライが上手くいかなかったのですが、その反省も踏まえて僕のことしか担当しない完全な専属トレーナーと契約することにしたんです。そのトレーナーとは結果的に6年ぐらい共にして、自分のパフォーマンスも向上しました」
———まずは、自分の将来像を思い描く。それが必要なサポートを得るための第一歩なのかもしれません。
【プロフィール】
鈴木啓太 / Keita Suzuki
AuB株式会社 代表取締役。高校卒業後、2000年に浦和レッズに加入。2006年、2007年には2年連続Jリーグベストイレブンに選出され、2009年から3年間キャプテンとしてチームを牽引。Jリーグ通算379試合出場、日本代表通算28試合出場。引退後は実業家に転身し、AuB株式会社を設立。腸内細菌に着目し、ヘルスケア、フードテック事業を行っている。
文:神津文人 / FUMIHITO KOUZU
撮影:山田陽 / AKIRA YAMADA
VOLUME 3に続く